1.はじめに

 昨今の新型コロナウイルス感染拡大の状況下では、変異株の同定が急務とされております。

 大阪府をはじめとする緊急事態宣言発令中の地域では、変異株によると思われる急速な感染拡大が起こり、連日、新規陽性者数が過去最多を記録しています。より一層の感染対策が必要であるとともに、変異株の同定は重要な課題となっています。

 このたび弊社では、シークエンシング(サンガー法)による変異株のゲノム解析法を開発し、すべての変異株の同定を行うことができるようになりました

2.Hanah Check – 新型コロナウイルス変異株ゲノム解析検査の特徴

(1)解析方法

 一般的に「N501Y」の変異は、リアルタイムRT-PCRによって行なわれています。しかしながら2021年4月末現在、「N501Y」を持たない変異株(インド変異株など)の急速な拡大も懸念されているところです。弊社ではコロナウイルスのスパイク遺伝子をPCRで増幅し、シークエンシングを行って塩基配列からすべての変異について確認します。同様の方法は、世界の他の研究機関でも採用されており、今後の標準的な方法になると考えられます。

(2)高い信頼性

 ゲノム解析の場合は、N501Yの変異に限らず、全ての変異を網羅的に確認するため、どのタイプの変異株であるかを詳細に確認することができます。塩基配列を調べるシークエンシング(サンガー法)は、あらゆる分子生物学の領域で用いられ、信頼性が非常に高い方法として広く普及しています。

(3)迅速な結果報告

 一般的にゲノム解析を行う場合、検査結果を受け取るまでに一週間以上かかりますが、検体を弊社へ送付していただいた場合、検体受領後4営業日程度で、ご指定の方法(郵便、メール)にてお知らせいたします。

3.参考

現在日本において確認され、世界的にも懸念すべきとされる変異株の抜粋(アメリカ合衆国CDCサイトより)                                                  

名前発見時期報告地報告国数変異影響
B.1.1.7 2020年9月英国>7069/70 欠失 144Y 欠失 N501Y A570D D614Q P681H感染率50%増加
B.1.3512020年10月南アフリカ>30K417N E484K N501Y D614G中和抗体に抵抗
P.1 2020年12月日本/ブラジル >4K417N/T E484K N501Y D614G感染率や致死率の増加
B.1.6172020年12月インド >4L452R E484Q P681R中和抗体に抵抗
                 *参照:https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/cases-updates/variant-surveillance/variant-info.html

  弊社ゲノム解析法では、これらの変異を含むすべての変異を確認、同定することができます。                                                                          

シ―クエンシング(サンガ―法)によるゲノム解析の例

蛍光色素で標識したDNAを、蛍光色素の色を識別する「DNAシークエンサー」を用いることによって、DNAの塩基配列をそれぞれの蛍光色素の色として自動的に読み取ります。蛍光色素で標識されたDNAは、紫外線による蛍光発光によって波形として読み取られます(シークエンシング) 。

 E484の場合                             N501の場合

DNAシークエンサーに読み取った塩基配列をアミノ酸配列に翻訳し、目的の場所に変異が存在するのか、存在した場合はどのような変異であるのかを解析します(ゲノム解析)。