血友病とは、血が固まる(止血)のに必要な「凝固因子」(血を固める働きをするタンパク質)が不足しているために、止血に時間がかかる病気です。そのため、血友病の患者さんは一旦出血すると血が止まりにくく、出血が持続してしまいます。生まれつき血友病Aの遺伝子異常のため、凝固因子のなかでも「第VIII因子」の産生がうまくできないのが血友病A、「第IX因子」の産生がうまくできないのが血友病Bです。

血友病 A はX染色体上にある第VIII因子遺伝子の変化(遺伝子異常を変異と呼びます)が関係しています。この遺伝子変異によってはインヒビター(第VIII因子への抗体のこと)の発生のリスクが高くなることが知られており、ひとたびインヒビターが発生すると治療が大変むずかしくなります。そのため欧米ではインヒビターの発生リスクの高い変異を有しているかどうかを調べるための遺伝子解析検査が推奨されています。

また、家系内に血友病 A の男性患者さんがいらっしゃる女性は第VIII因子遺伝子変異を引き継いでいる可能性があります。この可能性のある女性は「推定保因者」と位置づけられます。一方、第VIII因子は X 染色体に存在するため、性に伴ってその発生が認められ、患者である父親を持つ女性はすべて保因者となるため、「確定保因者」といわれます。家系内に血友病患者さんがいる女性にはこの「保因者」という可能性があることになります。保因者の方は血友病のお子さんを出産する可能性があります。血友病のお子さんは出産時に頭の中に出血するリスクがあり、いったん頭に出血するとてんかんや精神遅滞などの後遺症に一生悩まれる方もいらっしゃいます。保因者とわかっていれば出産時のリスクに備えることや、お子さんが産まれた後も速やかに対応できるなどのメリットがあります。

保因者かどうかを確定する検査は今のところ遺伝子解析検査しかありません。現在、行われている血友病 A の遺伝子解析は手間と費用が膨大なため、一部の医療機関で、限られた患者さんやその家族にしか実施できていません。 弊社は、医療法人財団荻窪病院と連携し、従来の遺伝子解析法と比較してより簡便で安価な方法で保因者診断のお手伝いをしております。詳しいお問い合わせはこちらまで。